自然の恵みを自らの力で得ていく暮らし

自然とともに充実の毎日

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本来の生き方

「いただきます」は「命をいただくこと」と言います。私たちが常日頃、口にしている肉、魚、野菜、穀物などこれらはすべて、私たちと同じ生き物です。加工されたものを買って食べていると、そのことをつい忘れてしまいがち。でも、何かのきっかけで畑に入り、土から生えている野菜を前に、その蒸せるような香りを吸い込んだときや、海で釣りあげられたばかりの魚がビチビチと跳ねている姿を見たとき、また、身体の形状の名残のある、大きな塊の肉からしたたる血に触れたとき、ああ、これらは私と同じ生き物なのだなあと改めて感じることがあるかもしれません。生きるエネルギーを取り入れているからこそ、栄養になって、元気になる。「いただきます」の語源に立ち返り、本当の「食」を知ることで大切にしたかったことを大切にできる生活が手に入るかもしれません。太陽や木、水など、自然のものはエネルギーに満ちています。これらを上手に取り入れていくことで成り立ってきた生活。そうやって生きてきた昔の人たちのたくましさに倣う暮らしは、人間本来の生き方なのかもしれません。

  • 自給自足
  • Iターン
  • 半農半X
  • 森が近い
  • 都市に近い
  • 単身で移住
  • 猟師
  • 元会社員
  • 女性
  • 季節と共に
西村舞さん
現在のお住まい京都府南丹市美山町
移住前のお住まい京都府宇治市
お仕事レストラン・ 宿泊施設のサービス業
年齢29歳

好きな場所と環境で

「今住んでいる家に、薪ストーブを導入したんです。薪は火が全体にまわるまでに時間がかかるので、朝忙しい時は焚けずに寒いけれど、いざ焚くと、勢いがあるからとても暖かくなるんですよ。」

京都府南丹市美山町に移住してきて数年。西村舞さんは、徐々に山の冬に馴染んできたと言います。そんな西村さんに、何気なく薪ストーブを導入した理由を伺ってみると、移住前後での収入の違いから、生活に対する考え方の変化にまで話は及びました。

「灯油ストーブだと、灯油代がどうしてもかかりますが、薪ストーブだと節約できます。移住前に比べると収入は減ってしまったので……。とは言え、今は肉も野菜も食べ物は自分でまかなえますし、家賃も安いので、灯油代などで少し切り詰めれば何とかなる。私にとって大切なのは、たくさんの収入や好きに使えるお金ではなく、好きな場所や環境で生きるということなんです。」

美山町での日々は、天気が良い日は山に行く、そうでない日は室内で出来ることをやるという風に、シンプルだがかけがえのないものだと西村さんは教えてくれます。

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そんな西村さんの田舎暮らしの原体験は、子ども時代に遡ります。自然豊かなお祖母様の家が大好きで、いつも訪れるのを楽しみにしていたそうです。自然が好きというその思いは年月を経ても変わることがなく、大学進学後は自然の中で活動ができるアウトドアサークルに所属。卒業後は「難しく自然を語るのではなく、ただただ自然の楽しさを伝える仕事をしたい。」という思いで、アウトドア用品のメーカーに就職します。慌ただしくも充実した日々を過ごしていましたが、ある時、旅行で訪れた美山町の自然に一目惚れしたそうです。その感動から、西村さんは美山町での暮らしを思い描くようになっていきます。

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訪れた転機

西村さんは、美山町のことを調べていくうちに、自然との共生を提唱している「田歌舎(たうたしゃ)」という会社を知り、移住と再就職を決意します。移住後は、大好きな自然に囲まれ、充実した毎日を過ごしていましたが、さらに転機が訪れます。

「仕事を通して猟師の方々と出会い、そのお話を聞いているうちに興味が湧いてきて、猟師の道に進んでみることにしたんです。」

最初は不安もあったそうですが、無事に狩猟免許を取得し、猟師としての道を歩み始めたことで、多くのことを教えてもらえたと西村さんは話します。

「仕事や先輩たちの教えを通じて、これまで猟師たちが伝えてきた、自然とともに生きる技術と知恵を得られました。その経験は他では得難く、何物にも代え難いもので、感謝しかありません。そして何よりも、この仕事を続けていると、生きている実感をビビッドに感じることが出来るんです。美山で出会う風景と動物の命は、私に生きる基本を教えてくれたんだと思います。」

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袋で覆った大きな銃を背負い、雪が積もった山道をしっかり踏みしめながら猟場に向かう西村さんの瞳は、雪面の反射を受けて一層輝いています。

「春は畑仕事、夏は川でのラフティングや山でのトレッキングのお手伝い、秋は収穫をしながらガイドに山村体験、そして冬は猟。一年を通してやることはたくさんありますが、今が一番充実して生きていると実感出来ていますね。」

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